小学校では2020年度、また中学校では2021年度から新たにプログラミング教育が導入されました。くもん出版による調査では、2020年度の小学校での教育実施率は28.1%と、コロナの影響もあってか導入状況は少し遅れているようですが、今後1、2年のうちにはほとんどの学校に導入されることが予想されます。
一方、これまで大学などで専攻した人しか学ぶことがなかった学問が、国語や算数などと同じ一般教養に加わることは、教育だけでなく社会の大きな変化点を表しているともいえます。それに伴って、保護者の中には、これまでプログラミングを学ぶ機会がなかったために、プログラミングやその教育の必要性についてよくイメージできていない方々も、まだ多いかと思います。
しかし、大学からプログラミングを学びはじめ、現在も仕事や生活でプログラミングをする機会の多い私の考えとしても、プログラミングができることは自由に効率よく生きていく上でとても便利なスキルになるため、仮に必修化されなかったとしても子供のうちから学んでおくメリットは大きいと考えています。
この記事では、プログラミング教育の必要性について次のポイントを解説したいと思います。
- そもそもプログラミングとは何か
- 子供がプログラミングを学ぶメリット
- 子供にとってプログラミングは難しくないのか
Contents
プログラミングとは
プログラミングとは、簡単にいうとコンピュータを動かすための指示を、料理のレシピのように順序立てて書いていくことです。たとえば、1辺の長さが5ピクセルの正方形を描く場合は次のような内容の指示をプログラミングすることで実現できます。
- 最初に「ペンの座標」を(0,0)、「方向」を0°、「辺の長さ」を5ピクセルに設定
- 次の処理を4回繰り返す
(1)「ペンの座標」から角度が「方向」、長さが「辺の長さ」の直線を引く
(2)「ペンの座標」を角度を「方向」、長さを「辺の長さ」に動かした位置に更新する
(3)「方向」の値を現在の値に90°を足した値に更新する
上のように指示を書き下したものを「プログラム」といいます。また、プログラムはコンピュータが正しく読み込めるように、決まった文法に従って書いてあげる必要があります。この文法を「プログラミング言語」といい、基本的には英語を基に指示の書き方が設計されています。プログラミング言語には様々な種類の言語があり、例えばiPhoneアプリを作るためのSwift、Androidアプリを作るためのKotlinなど、動かしたい機器や目的によって言語を使い分ける必要があります。
プログラミングをする上で重要な点の一つが、コンピュータは指示された動きしかできないということです。人と違って、行間を読んだり、間違いを直して勝手に動いたりすることはできません。したがって、目的に沿って正しく動かすためには、論理的に漏れや矛盾が無いように、正しくプログラミングすることが求められます。
子供のうちからプログラミングを学ぶメリット
プログラミングを学ぶメリットについて、大きくは次の3つがあげられます。
物の仕組みを理解し活用するのに役立つ
これまでも小中学校では、電池と回路を使って電気の仕組みを学んだり、裁縫を通じて衣類作りについて学んだりすることで、生活に身近なものの仕組みを学んだことがあると思います。昨今は情報化社会とも呼ばれ、パソコンやスマートフォンに限らず、時計や炊飯器や自動車など、生活するなかで活用している身の回りのほとんどの機器にはコンピュータが内蔵されていてプログラムによって制御されています。このような情報化社会の中で、コンピュータやプログラミングに対する理解を深めることは身の回りの物の仕組みを理解し、活用できることに繋がります。
論理的思考力が鍛えられる
プログラムを動かすためには、論理的に漏れや矛盾なく指示を並べていくことが求められます。そのため、ゴールを実現するために必要な手順を論理的に筋道立てて考える思考力が鍛えられます。また他にも、間違っているプログラムを修正したり、試行錯誤したりする過程で問題解決能力が鍛えられるといった効果も期待でき、プログラミングをすることは思考力の強化につながります。
ITを活用したアイデアを形にできるようになる
私は普段の仕事や生活のなかで、情報収集や定期的におこなう事務処理など、手間のかかる作業をプログラムにして自動化することがあります。このように、自分でプログラミングができるようになると、他人の作ったアプリを探して活用するだけでなく、自分で思いついたアイデアをアプリとして自ら作り、生活を便利にすることができるようになります。
プログラミングって難しい?
たしかに、一般に使用されているプログラミング言語を使用して学習するのは、英語を習得する前の子供にとっては前提知識が足りないためおすすめできません。
しかし、子供向けの教材として、簡単な日本語と数字を使ってパズルのように部品を繋げてプログラミングが行えるツールがあります。このような子供向けのプログラミング手法は「ビジュアルプログラミング」と呼ばれ、視覚的にわかりやすく、子供でも扱うことができます。代表的なツールとしては世界中でも広く使われているScratchなどがあり、主には字の読み書きや足し算引き算などの簡単な計算ができる小学校低学年からを対象としているが、Viscuitなどの4歳からを対象とした文字も扱わずにお絵描き感覚で触れる教材もあります。これらを使用することで子供でも簡単にプログラミングを学習していくことができます。
他の記事で、様々な子供向けプログラミング教材について特徴を比較しています。自身のお子様がどのような教材から学び始めたほうが良いのか、判断のご参考になれば幸いです。
まとめ
- プログラミングとは、コンピュータを目的通りに動かすための指示手順を書き下すことで、正しく動かすためには漏れや矛盾なく論理的に手順を書き下す必要がある。
- プログラミングを学習することで、「1.物の仕組みを理解し活用するのに役立つ」「2.論理的思考力が鍛えられる」「3.ITを活用したアイデアを形にできるようになる」といったメリットがある
- 教材として、簡単な日本語と数字が書かれた部品をパズルのように繋げて視覚的にプログラミングが行える「ビジュアルプログラミング」ツールがあり、小学校低学年からでもプログラミングを学習していくことができる。
続いて、他の記事で、様々な子供向けプログラミング教材について特徴を比較していますので、自身のお子様がどのような教材から学び始めたほうが良いのか、判断のご参考になれば幸いです。